起業する際にやってはいけない「3つの選択」というものがあります。
それは、
・コンビニフランチャイズに加盟する
・友人と一緒に起業する
・居抜き物件で店舗を開く
の3つです。
コンビニフランチャイズに加盟する
起業する際にフランチャイズ(以下、FC)に加入して起業するのは、一番オススメ出来ない選択です。
FCの中でも、特にコンビニFCへの加盟はオススメできません。
20年前ならいざしらず、コンビニチェーン全体で5万店舗以上ある現在ではオススメ出来ない業種のNO.1です。
数年前に話題になった「ブルーオーシャン戦略」でいうと、レッドオーシャン(過当競争)の市場になります。
FC加入がダメな理由
FC加入がダメな一番の理由は、「依存心が生まれる」ということです。
FCに加盟すると、店舗運営のノウハウや仕入れる商品の全てを提供してもらえるので、加盟者は何の知識がなくても店舗を開店・運営できます。
そこで「何でも本部がやってくれる」と依存心が生まれ、自分で考えることがなくなるため、売上が良い時はいいのですが、売上が落ちてくるとFC本部とのトラブルに発展しやすくなります。(現在訴訟やトラブルになっている原因の殆どはこのケースです)
また、フランチャイズビジネスは「初期費用が高いこと」と「FC本部だけが儲かるように出来ていること」もダメな理由の一つです。
コンビニFCの場合、加盟金(セブン-イレブンの場合250万~300万円)や店舗の建築・改装費などで2~3,000万円くらいの多額の初期投資が必要になります。
また、店舗が赤字でもFC本部へのロイヤリティは支払う必要があるため、これらの不満が積み重なってFC本部とのトラブルに発展するケースが多発しています。
FC加入のメリット
もちろんFCに加入するメリットもあります。
主なメリットは下記になります。
・店舗運営のノウハウ
・ブランド
・データの提供
1)店舗運営のノウハウ
上でも書きましたが「店舗運営のノウハウ」が最大のメリットになります。
しかしこの事がFC加入の最大のメリットであり、失敗の原因にもなっています。
コンビニや飲食店の運営ノウハウや本部からの商品提供で、FC本部が全て準備してくれるので開店するまでは非常に簡単にできます。
ただ問題はその後です。
店舗運営で一番大切なのは「継続すること」ですが、FC本部からの割高な商品購入や指導料などの支払いで、継続して店舗運営してく事が非常に難しくなっているケースが多いです。
2)ブランド
そして2番めの「ブランド」もFC加盟の大きなメリットです。
例えばコーヒー好きな人が喫茶店を開くケースを考えてみます。
聞いたこともない喫茶店と、味に定評のあるスターバックスが同じ通りに並んであった場合、お客さんの立場で考えるとどちらの店舗に入るでしょうか?
これがFC加盟のメリットである「宣伝効果」と「信用」です。
3)データの提供
そして3番目のデータの提供ですが、FC本部によっては他の店舗での成功事例など、売上アップに繋がるデータを提供してくれる本部もあります。
FC本部とトラブルになる理由
FC本部とトラブルになる主な理由は下記の3つです。
・FC本部の出した売上見込みと実際の売上がかけ離れている
・研修やサポートが最初聞いていたものと違う
・ロイヤリティと加盟料が高すぎる
このように、FC本部は確実に利益が入ってくるように設計されていますので、「加盟して運営を続けていく」と考えるのではなく、FC本部のノウハウを活用して店舗運営を成功させ、さらに独自ノウハウを積み重ねて自分自身がFC本部となるくらいの気持ちでFC加盟するのが成功への道と言えます。(ただ、FC契約書に「契約解除後の競業禁止」についての条項があるケースが大半です)
元々の加盟店がFC本部化した成功例としては、「和民」(最初は「つぼ八」にFC加盟)や「ほっともっと」「やよい軒」を運営するプレナス(最初は「ほっかほっか亭」にFC加盟)などがあります。
友人と一緒に起業する
やってはいけない選択の2番目の選択は「友人と一緒に起業する」ことです。
起業するときは誰でも不安なので、誰か一緒にやってくれる仲間を探しがちですが、これはオススメ出来ません。
起業当初は良いかもしれませんが、必ずすぐに問題が表面化してくるからです。
大半は、当初の計画よりも会社運営が上手くいかず、相手の行動・言動への不満や、その後の運営資金の負担割合などが問題となり、仲が悪くなることが多いです。
また会社がうまく行ってい場合でも、利益配分やお金の使い方についてトラブルが発生します。
結局の所、大半は「お金」に関する問題が発生します。
例えばホリエモンこと堀江貴文社長も、最初に起業した会社は仲間(当時の彼女など)と一緒に作り、その後に方向性の違いなどで大きなトラブルに発展しました。(彼女のお父さんが出資していたので、金銭的にもトラブルに)
またSNSサービス世界最大手のFacebookも、創業者であるマーク・ザッカーバーグ氏と共同創業者の間でもトラブルとなり、裁判にまで発展し、最後はマーク・ザッカーバーグ氏が巨額の和解金を支払う事で解決したケースもあります。
また、Twitterも共同創業者間で訴訟合戦となりました。
一緒に起業した成功例
しかし全ての仲間との起業がトラブルになっている訳ではありません。
共同創業して成功している例としては、ソニー、サイバーエージェント、エニグモなどがあります。
ソニーは、井深大氏と盛田昭夫氏が一緒に創業した会社で、サイバーエージェントは社長の藤田晋氏と副社長の日高裕介氏が一緒に創業した会社です。
この2社の共通点は、社長と副社長など役割がしっかり決められていて、当事者間の間でも上下関係がはっきりしている事があげられます。
そのため、方向性の違いなどの問題に発展しなかったと考えられます。
また「BUYMA」というECサイトを運営する株式会社エニグモは、田中禎人氏と須田将啓氏の2人の創業者が「共同最高経営責任者」という役職で共同で会社運営し、東証マザーズに上場している会社です。(2013年1月に田中社長が退任し、現在は須田社長のみになっています)
業務内容の役割分担の違いはあるものの、2人の共同創業者が全く同じだけの権限を持っていて、大きなトラブルに発展しなかったという点だけでも、この会社は非常に珍しい成功例だと思います。
海外では、グーグルも大学の同級生であるラリー・ペイジ氏とセルゲイ・ブリン氏が一緒に創業し、成功している事例としてあげられます。
もし友人や知人と一緒に起業する場合は、後々のトラブルにならないためにも、負担や利益配分、役割や権利について事前に明確に明確に定めておく必要があります。
居抜き物件で店舗を開く
そしてやってはいけない選択の3番目の選択は「居抜き物件で店舗を開く」ことです。
これは飲食店などの店舗を運営する人のみの話ですが、居抜き物件での開店はオススメできません。
※居抜き物件とは、飲食店などの場合、以前の店舗の厨房や椅子、テーブルなどがそのまま残った状態で賃貸に出されている物件のことです。
居抜き物件は備品などがすでに揃っているので、初期投資が少なくて済むので魅力的ですが、他の人がその場所ですでにやってもダメだったという「いわく付き物件」でもあります。
居抜き物件を検討する場合は、事前に不動産屋へ「前の店舗はなぜ駄目だったのか」を確認しておく必要があります。
前の店舗がダメだった理由
前の店舗がダメだった理由で一番多いのは「路面に面していない」ことです。
大通りに面していない立地の店舗の場合、人通りも少なく、店舗の存在自体を見つけてもらう事が難しいため、売り上げを上げるのは非常に困難です。
日本マクドナルドの故藤田田(ふじた でん)社長の本に書いてあった内容では、人通りの多い場所から500m離れた店舗の売り上げは、5km離れた店舗の売り上げと等しいと書かれています。
また、マツモトキヨシ社長の書いた本でも、同じ店舗の1階と2階の売り上げは、倍以上の差があると書かれています。
これから分かるように、飲食店や小売店では立地が売上に大きく影響するのですが、なぜか「自分の店(味)なら、大通りに面していなくても人は来てくれる」と考えるようで、開店→閉店を繰り返してしまうケースが続出しています。
居抜き物件でOKな例
居抜き物件でOKな場合があります。
それは「以前の店舗と同じ業態はしない」という事です。
以前と同じ業態(例えばラーメン屋の後にラーメン屋をオープンなど)であれば、お客さんにとって変わったようには見えませんが、違う業態(ラーメン屋→焼肉屋など)であれば、お客さんへの提供する商品が全く異なるため、別の店舗として認識されます。
そのため、厨房などの設備を利用した違う業態の店舗であれば、まだ成功する見込みがあります。
例えば「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」という店舗があります。
この「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」は、ファミレスが撤退した居抜き物件を中心に契約することで低コストで店舗を出店し、急成長している企業です。
この会社の運営する店舗の特長は「店舗外観や内装を改装しない」事です。
そのため、外観と内装はファミレスチェーンと同じですが、提供する料理・サービスは「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」のものになっています。
そのため、このお店では店舗ごとに外観や内装が違って、共通ているのは提供している商品と看板だけとなっています。