ベンチャー企業への投資の難しさ
日本のベンチャー企業の93%が設立から10年以内に潰れ、残りの7%も大半は経営を維持しているだけの状態とのことです。
100社起業しても1社成功するかしないかの非常に低い確率で、ベンチャー企業への投資で成功するにはその1%を見分ける必要があります。
ただ常識的に考えて、その1社を選ぶのは非常に難しいです。
これは上場していないベンチャー企業での確率ですが、その1%の狭き門をくぐり抜けて、株式を上場したベンチャー企業も、上場後に急失速するなどして上場廃止や倒産するケースが多数あります。
私も旧マザーズ(現グロース)など、新興企業向けの市場に公開されている株を、「値動きが激しく利益が取りやすい」と安易に考えて投資していた時期がありますが、その大半が失敗に終わりました・・・。
1企業だけで、135万円ほど損失が出た時は、本当にヘコミました・・・
本当に1%の成功を見分けるのは難しいです。
ベンチャー投資の成功例
ソフトバンクの孫社長はベンチャー投資の成功例を多く持っています。
中国のECサイトNo.1のアリババを始めとして、半導体企業のアームなどへの投資で、数兆円規模の含み益を保持しています。
アリババなどは、2000年に20億円投資したのが、14年間で4,000倍にもなったそうです。
他にも日本企業では、Yahoo!JAPANや、ゲームアプリ「パズル&ドラゴンズ(通称:パズドラ)」を運営するガンホー・オンラインエンタテインメント※など、有名な成功例が多数あります。
※正確には、ガンホーオンラインエンタテインメントは、孫社長の実弟である孫泰蔵さんが立ち上げた会社になります。
ただ、その反面数多くの失敗した投資もあります。
最近ではシェアオフィスの「WeWork(ウィーワーク)」への投資があります。
「WeWork(ウィーワーク)」への投資は当初は大成功していたものの、コロナの影響によるオフィスの大量閉鎖やIPOの延期などで評価額が急落し、2023年11月には日本の民事再生法にあたる連邦破産法第11条の適用をアメリカの裁判所に申請して経営破綻しました。
ソフトバンクのウィーワークへの出資額は、投資額が約118億ドルと社債取得額の41億ドルの合計で約160億ドル(160円換算で2兆5,600億円)にもなります。
しかしわずか1%以下の成功する企業の株を持っているだけで、その他99%の投資先が倒産しても、それをカバーできるくらいの利益をもたらしてくれるのがベンチャー投資の醍醐味です。
おそらく孫社長は、そこに魅力を感じているのだと思います。
そうでなければ、2000年のネットの黎明期に、どこの馬の骨ともわからない企業に20億円をポンとは出せないのではないかと思います。
これはGoogleなどのアメリカのベンチャー企業に投資をする「エンジェル」と呼ばれる投資家も同じです。
Googleの起業直後に投資したエンジェルの1人は、ITバブルの崩壊で、投資したベンチャー企業の9割近くが倒産したそうですが、Google1社だけでその損失をカバーして、さらに莫大な利益をもたらしてくれたそうです。
孫社長は昔からの友人である、マイクロソフトの創業者のビル・ゲイツ氏から
「マサ(孫社長)は、私と同じくらいのリスクテイカー(リスクを果敢にとって勝負する人)だ」
とコメントを貰うほどのリスクテイカーです。
それくらいの覚悟を持ってリスクをとれる人でないとベンチャー企業への投資は出来ないし、それが出来る人だからこそこれだけの莫大な利益を受け取ることが出来るのですね。